タグボートは8月17、18日にアートイベント「Independent Tokyo」を開催し、150名のアーティストが参加して、2000名を超える来場者で大いににぎわった。
29人のギャラリスト審査員が作家をセレクトしたほか、タグボートのギャラリーでの展示やニューヨークのグループ展に招待するアーティストも決定された。
そのイベント中で130名ものアーティストの交流会が別途開催されるなど、この2日間でのアーティスト同士の横の繋がりができていたようだ。
終わった感想としては、このようなコミュニティはたった2日間で終わらせるのは本当にもったいないということだ。
どこの展覧会やビエンナーレでもアーティストは展示をしてしまえばそれで終わりであり、その後のフォローアップなどは特にない。
それは国内の各公募展も同じで表彰して賞金を渡すだけなので、その時に集まったアーティストの熱気はすぐに冷めてしまう。
そこに集まった熱気とかエネルギーを発散させて終わるのではなく、継続してコミュニティーを作っていくというのが本来ならあるべき姿だと考える。
先週金曜日には台北オークションセンターが主宰するContemporary Photo Salonというイベントにタグボートも提携しており、日本の写真作家18人の作品をタグボートがセレクトして台北で展覧会を行った。
今回台湾および世界中から参加した写真アーティストのうち61人のうち3割が日本人だ。
日本から展示を見に来られたアーティストはそこで初めて会う人もいれば、実は知り合いだったりして、アーティスト同士の交流が活発に行われていた。
アーティストは活動を個人でやっているので、第三者の意見を聞いたりすることが重要である。
また、今回の場所は101タワーの隣にある貿易センター内なのでコレクターやギャラリストなど美術関係者も多数来ており、アーティストにとっては自己アピールの格好の場となっていた。
その次の日は日本に戻り、群馬県で開催されている中之条ビエンナーレに行った。
二年に一度の町興しイベントとして開催されているこのイベントは地元に根付いており、毎回参加を希望するアーティストも多い。
越後妻有トリエンナーレに比べると規模は小さくなるが、アートが展示されている地域の範囲が鑑賞者にはちょうどよいくらいに散りばめられている。
150名のアーティストが国内外から集まり、中之条の様々な場所で作品を展示している。
そのメインはインスタレーションや映像作品で国内のギャラリーでは商業的な難しさから展示が叶わないような作品が多かった。
このような実験的な展示が可能なのが地域おこしのアートイベントの特長だ。
ただし、実際にはどれだけの人がアートに興味を持って作品を鑑賞してくれたかは微妙であり、美術関係者をオープンしたばかりの日曜日に見ることはなかった。
それはさておき、中之条では夜な夜なアーティストたちが集まっては酒を酌み交わしていたようであり、海外からのアーティストも多いことからか会話は英語が基本だ。
アーティスト同士が集まれば連帯感が生まれる。
それはアーティスト同士は競い合いポイントがそれぞれ違うから直接のライバルにはなりにくいからだと思う。
従い、切磋琢磨するためにはアーティスト同士の連帯感は必須なのだ。
タグボートはこのようなアーティストのコミュニティの設計を現在考えている。
具体的な方法については、次のコラムの中で書いていくが、そこにはアーティストの海外戦略も含めて多面的に行っていくつもりだ。
コラムの中ではそのコミュニティ形成の様子を横から覗く様に見てもらいたいと思っている。
コミュニティーが形成され、そこでアーティストが切磋琢磨する世界を垣間見る中で、どのようなアーティストが伸びていくか、成長が期待されるかはコレクター心理としては興味がわくところだろう。
タグボートとしても、アーティストコミュニティの中で才能のある新しいアーティストを発掘するし、さらにそのアーティストが世界で戦っていけるだけの武器を与えたいと思っている。
総力戦で世界に立ち向かっていけば、コミュニケーション能力や語学力も含めてまだ日本人が個人戦では弱いところを補完できるだけでなく、トータルの強みを発揮できるかもしれない。
以下のタグボートの海外戦略の中でそれを明らかにしていきたい。
コラム「タグボートの海外戦略」